情報データ科学の「いま」がかわる!!プロのコトバ ~INTERVIEW~

目指せ、現代のアメリカン・ドリーム!? 成果を上げつつ自由に働くWebエンジニア

髙見 聖(タカミ サトシ)さん

【会社名】 株式会社 ドワンゴ
【所属部署名・役職】 ニコニコ事業本部 クリエイターリレーション部 第一開発セクション
【入社年】 2011年
【略歴】

大学では農学部 応用生物学専修を卒業、院へ進み農学生命科学研究科にて生産・環境生物学専攻、応用生物学専修を卒業。新卒として、2011年4月株式会社ドワンゴへ入社。

学部も修士も、生物測定学研究室 (生物統計) で学ぶ。農業では昔から統計が重要。生育状況の把握からシミュレーションまで幅広い研究を進める。

統計学やパターン認識(の統計学的な面)などを学び、好まれやすい造園景観のCG作成や統計処理、シミュレーションをプログラミング。R言語、C言語、C++言語、PHP で研究を行う。

新卒で入社した株式会社ドワンゴにてWebエンジニアとして活躍。主にWebアプリケーションの開発(PHP、Ruby on Rails等)、サーバ等機材の準備・管理(AWS、オンプレミス等) に従事。

関わったプロダクトでは、機能自体の企画、ユーザーの使い勝手に関わる部分、安定稼働 (サーバ構築&監視)、開発/運営/保守作業の省力化などの業務を担当。

インタビュー
責務を全うしながら 自由な社風&裁量を持って働けるドワンゴWebエンジニアになるには?

現在の仕事について

株式会社ドワンゴの紹介

ニコニコ動画・ニコニコ生放送を中心に、視聴者参加型でコンテンツを楽しめるWebエンターテインメントを提供しています。

他にも教育に力をいれており、“ネットの学校” N高等学校・S高等学校・N中等部、学習アプリ「N予備校」などの開発・運用も弊社では行っています。大学生含む社会人向けのN予備校は最近人気が高まりつつあり、プログラミング系のスキルを身に付けられるようなコースもあります。

組織構成としては、大きく分けて、サービスを作るサービス企画&開発系の部署(プラットフォームなどのシステムを開発)と、営業&コンテンツ制作の部署(動画などコンテンツ制作や運営)があります。

デザイナーと一緒に組んで仕事をすることもあり、Webエンジニア(フロントエンドエンジニア)の中でもデザイン系のスキルがある人は社内でひっぱりだこです。

▼ドワンゴ事業内容
https://dwango.co.jp/business/

株式会社ドワンゴに入社した理由

学生時代から個人でWebサービスを作っていて、自分がやりたいこととドワンゴで出来ることが合致していたからです。

特に惹かれたのが、ドワンゴの自由で面白く、ネット上で存在感があった雰囲気です。それを見て、同業の企業の中でもドワンゴが最も働き方が自由で楽しそうな会社だと感じました。実際に入社して、それぞれの社員への裁量が多く、自由な社風でした。ただ、責任・責務・成果を果たしているからこその自由であり、それぞれの社員が、責任・責務・成果を上げていました。

他にも、現在の部署では、1日1時間ほど業務で使うスキルを高めるために使える時間が与えられているので、技術的なことを調べたり、試しに作ってみたり自由にできる時間があります。このような時間が業務時間内に確保されているので、エンジニアとしてはとてもいい環境が与えられていると思います。

ちなみに働き方は、8〜22時の時間内での裁量労働制。ライフスタイルにあわせた働き方ができるので、人によっては保育園の送り迎えなども行いやすいようです。また、業務内容にもよりますが、勤務場所もオフィスではなく、在宅勤務が可能なことも多いです。

現在の仕事と役割

▼ 役割

ニコニコ大百科、ニコニコニュース、ニコニコニュースオリジナル、ニコニコ実況といったWebサービスの、技術面全般を2~3名で担当しています。

具体的には、企画者から提案があった新機能の要件定義、設計、実装、導入。さらに、利用しているソフトの仕様変更や脆弱性への対応や機材の構築(プロビジョニング)、保守(監視、障害対応)。また、ログやデータの調査なども行っています。

▼ 仕事に必要な知識・スキル

4つ(ニコニコ大百科、ニコニコニュース、ニコニコニュースオリジナル、ニコニコ実況)の担当サービスがあり、それぞれ、Webアプリケーションで使っているプログラミング言語やフレームワークが異なります。

また、サーバー構築用のプログラミング言語やサーバー監視ソフト、Linuxも学んで使いこなす必要があります。

現在の仕事は、大規模新規開発ではなく、保守や追加開発が主なものなので、個々のタスクは小さく、見積もりもそこまで難しくないため、プロジェクト管理は、タスク管理ソフトを用いることで比較的簡単にできています。

一方、担当メンバーは数年で異動となっていくため、情報を次のメンバーに伝えられるよう、ドキュメント化していくこと。そして、コミュニケーションについては、HRT(Humility 謙虚・Respect 尊敬・Trust 信頼)を持つことが重要です。

情報データ科学部の課題解決型のPBL (Problem-based Learning) 授業などで、企業の人たちと交わりながらHRTを学ぶことが将来に役立つと思います。

最後に、円滑に仕事を進めるためには、自分が何をしたいか、自分が何をするのかなど、周りに意志を示せることが、スムーズな仕事の推進には重要となるのでそこも意識することが重要です。

▼ 仕事に対する考え(想いやこだわり)

担当サービス自体も、ニコニコ文化に関係するエンターテインメントということで、非常に面白いですね。仕事で用いるコンピューターやプログラミングに関係する事柄も楽しいです。

何より、会社の仕事の中で培った技術で、個人でも好きな内容のWebサービスを作れるのも楽しいです。もちろん、逆に、個人のサービス作りで学んだ事項を、会社の仕事に活かすこともあります。

この職種はどうしても新しく出てくる技術を学び続けることが必要ですが、現在の部署では1日1時間ほど、業務時間中に業務で必要な技術を学ぶ時間が確保されており、とても素晴らしい体制になっていると思っています。

話は変わって、良い成果を出すために意識している点ですが、私は、それぞれのタスクについて、「この部分は何日でしたい」「明日の日例までに、どこまでは終えていたい」とブレークダウンして、目標を定めるということを心がけています。

想定以上に時間がかかってしまった時に、超過の原因を探って対策を施すのも大事です。(技術力不足だったり、見切りや相談のタイミングを早めるなど)

情報データ科学部生にオススメする学びとは?

やはり、技術力があり成果を出せることが重要です。Webエンジニアのうち、私が従事している領域で活躍する目的で、特に重要と思われる科目を抜粋してみました。

【とても必要】
・コンピュータ入門:サーバーで障害が発生した時に、原因を理解し適切な対処を行ったり、問題のないプログラムを書くために必要。

・プログラミング概論/演習I・II :プログラムを書くのに必要。大体のプログラミング言語は構成要素がほぼ同じため、1つの言語を学ぶと、他の言語の理解にもなる。

・プログラミング演習IV:大人数でプログラムを作る際に必要な事項を学べる。

・データベース:『Web+DB Press』という誌名の業界誌があるように、Webサービスには必要不可欠。余談ですが、大学生の頃からこのような、技術方面に関する業界誌も読んでおくと、とても力になると思います。

【必要性が高い】
・確率・統計: 必要な機材の量や、サーバーの障害発生の可能性を考える際に必要。

【あるとよい】
・数理・データサイエンス/基礎データ分析演習/多変量解析:たまに(1~2年に1度程度) 、どういう施策(機能)が良いかデータをR言語などで解析して検討する仕事がある。

・情報ネットワーク・ネットワークセキュリティ:この知識があると、ネットワークエンジニアとしても活躍する第一歩となる。(AWSでのサーバー構築では使用)

・オペレーティングシステム:サーバーの障害発生時に、原因の理解に役立つ。

上記にある「確率・統計」は、エンジニアだけでなく企画部門でもとても重要なスキル。会社として、統計検定などの資格をとることを奨励しています。

学生へのメッセージ

ドワンゴで働く社員は、どこかひとつ光るものを持っている人が多いです。なので、学生時代は得意なところを伸ばし、即戦力となる武器をひとつでも作っておくと評価されると思います。私も、学生時代に個人のWebサービスを作り、そういうものの展示会(『コミティア』)に出展し、就活時のアピールにしました。

就職を目的にするのであれば、会社でよく使われているプログラミング言語やフレームワーク、ミドルウェア、クラウドサービスに親しんでいると、即戦力度合いが上がるように思います。『Web+DB Press』に出てくる技術は、業界の会社で実際に使われている技術にかなり近いように思います。ただ、全部だと幅が広すぎるので、「狙っている会社で使ってるから」などのテーマで絞り込んだりするといいと思います。

どのようなスキルが求められているかについては、私だけでなく、色んな会社の人の話を参考にすると良いかと思います。企業の採用イベントなどでは、企業の人への質問コーナーもあるかと思うので、そういう場などで、どんどん質問してみるといいと思います。最近では、オンラインでも開催されており、参加しやすくなったように思います。

とはいえ、新卒採用の場合、「基礎力」「伸びしろ」「応用力」「総合力」みたいなところも重視されうるので、大学の授業もおろそかにできません。

個人的には、就活のための技術だけを学ぶのではなく、大学でしか学べないことを楽しんで学べると、将来の幅が広がるとも思います。プログラミングなどは業務を進めながら常に新しいことを学んでいけますが、大学でしかしっかりと学ぶ機会がない基礎的な統計などの学問的な知識などを学生のうちに身につけていると、社会で役立つ人材になると思います。また、人生も豊かになっていくと思います。特に、業務中に学ぶ対象でなく、大学でも学んでる人が少ない分野を学べていると、「業務の中で身につけた技術力×自分にしか無い専門分野」という部分で、将来活かせる道が出てくるかもしれません。

最後に、Web業界・IT業界では、Facebook等、現代のアメリカンドリームといえるような、大成する夢を叶えられる可能性があると思います。(私の知り合いにも何人かいます。) 自ら創造し開発したWebサービスを世の中でヒットさせ、大成功する。金銭面な意味だけでなく、社会に大きなインパクトを与えられる可能性があると思います。そういう人生の大きな楽しみもある業界・業種と思います。会社の風土が良いこともあり、私自身、日々モチベーション高く楽しく働けています。

(インタビュー日:2022年2月28日)