情報データ科学の「いま」がかわる!!プロのコトバ ~INTERVIEW~

スペシャリスト集団の中でキャリアを磨く探求者

栗山 寛史(クリヤマ ヒロシ)さん

【会社名】 株式会社ALBERT
【所属部署名・役職】 データコンサルティング部/データサイエンティスト
【入社年】 2018年4月
【略歴】

学生時代は工学部社会工学科の経済学コースで計量経済学を専攻し、修士課程を修了。学部・修士課程ともに研究では統計モデルを活用。学部では、不動産価格を推定するモデルを作成し、周辺環境がその不動産の価値に与える影響を分析。修士課程では、競合他社の広告が消費者の購買に与える効果の分析を行っていた。

ALBERTには内定後1年間のインターンを経て新卒入社。現在はプロジェクトマネージャーとしてクライアントと共に課題に向き合い、データ分析チームのマネジメントを行っている。

業務経験:
・情報通信:顧客の離反予測、商品レコメンド、広告最適化
・Webマーケティング:広告最適化
・半導体メーカー:装置トラブルの分類・クラスタリング
・流通:需要予測

インタビュー
受託会社ならではのデータ分析事業について

現在の仕事について

株式会社ALBERTの紹介

ALBERT(アルベルト)は、『データサイエンスで未来をつむぐ』をMISSIONに掲げており、データサイエンス領域の技術を用いて顧客課題の解決を支援する会社です。

社内には大きく分けて「データコンサルティング部」「ストラテジックアライアンス部」「先進技術部」「教育部」という4つの部署があり、私が所属する「データコンサルティング部」は、データ分析を通じて顧客課題の解決を支援するという、当社のメイン事業を担っています。

「ストラテジックアライアンス部」では、自動車、金融、製造など重点産業を中心とした顧客企業(クライアント)の案件を多く取り扱っています。「先進技術部」は、最新技術に関する継続的なキャッチアップや新技術の研究開発を行い、技術的難易度が高く研究開発要素の強いプロジェクトを担当します。また、その技術を社内勉強会で共有したり、技術ブログの執筆や学会発表を行ったりすることで社外に向けた発信も担当しています。「教育部」が行うのは、顧客企業向けの研修や公開講座によるデータサイエンティストの育成支援事業です。

データコンサルティング部には、顧客の課題を整理して目標に落とし込み、分析方針の全体設計を行う「マネージャー(リーダー)」、顧客から提供されたデータの分析から機械学習モデル及びアルゴリズムの構築まで行う「アナリスト」のほか、検証が済んだモデルやアルゴリズムを実際のシステムに導入するための開発作業を行う「エンジニア」も所属しています。

ALBERTは、クライアントから依頼を受けて仕事を請け負う「受託会社」であり、いわばデータ分析のスペシャリスト集団です。一般的な事業会社の中には、自社内にデータ分析部門を設けている会社もありますが、そこで働くデータサイエンティストの数は決して多くありません。この点、当社には現在250名を超えるデータサイエンティストが在籍しており、社内勉強会なども活発に行われています。技術的な相談をする相手に困ることはなく、自身の知識を深め、スキルを高められる環境といえるでしょう。

株式会社ALBERTに入社した理由

きっかけは、大学の統計学の授業でデータ分析の可能性に魅力を感じたことです。データから導き出した知見を使えば社会やビジネスにおける無駄な部分をもっと効率化できると考え、データ分析会社への就職を志しました。当時はビッグデータやデータサイエンティストという言葉が登場したばかりの頃だったので、データ分析会社を見つけるのは今よりも大変でした。キャリアの浅いうちはできるだけ多くのデータに触れたいと考えたので、受託でデータ分析を行っているALBERTへの就職を決めました。

就職後には、受託案件としてデータ分析を請け負うだけでなく、自社内に分析部門を持つ事業会社に常駐し、その社内部門で働く機会も多くありました。「受託会社」と「分析部門を持つ事業会社」それぞれの特徴を見てきたわけですが、様々なプロジェクトを通して多種多様なデータに触れられるのは、やはり受託会社ならではの強みだと思います。また、多くのデータサイエンティストと一緒に働くことで、刺激や学びがあり、自分がどんなデータサイエンティストを目指せばよいのか、将来のキャリアをイメージしやすいというのもALBERT の大きな魅力ではないでしょうか。

現在の仕事と役割

現在は、プロジェクトマネージャーとしてクライアントとチームメンバーの間を取り持つ役割を担っています。ちなみに、当社のデータサイエンティストはアナリストからマネージャー職へとステップアップするのが一般的ですが、データ分析やアルゴリズム構築等の技術を極めるというキャリアパスもあります。私はマネージャー職へ進んだのでコーディングの機会はほとんどなくなりましたが、クライアントの課題に対してどのような分析方法で貢献できるか企画する業務はビジネスとデータ分析の両方のスキルを必要とするので、やりがいを感じています。

仕事内容については、製造業のお客様向けに装置のトラブルシューティングを支援した案件を例にご紹介します。

製造業と聞くと、多くの人は工場の中で作業員が生産活動を行っている、つまり人の手でものづくりが行われている様子を想像すると思います。しかし実際はほとんどの生産活動が機械(装置)で行われており、工場内の作業員が行っているのは、装置の修理やメンテナンスなどの管理業務です。こうした製造業のクライアントが抱える「生産性の向上」という課題に対して、私たちは「AIによる的確なトラブルシューティングで装置の稼働率を向上させる」支援を行いました。

装置の稼働率を上げるためには、故障や不具合などのトラブルによって装置が停止している時間をいかに短くするか、どれだけ早くトラブルを解決して装置を復旧させられるかがポイントです。修理やメンテナンスなどの具体的な対処方法はマニュアルを充実させることで対応できますが、故障や不具合の原因が特定できなければ無駄な作業に時間をとられて復旧に時間がかかってしまいます。そこで私たちは、過去に装置が故障した時のログを分析し、そのパターンの類似性からクラスタリングを行ってAIがトラブルの原因を特定するモデルを構築しました。

この案件に限りませんが、受託案件ならではの難しさとしてAI・機械学習が導いた結果と現場の感覚にギャップが生じることがあります。例えば、「故障Aと故障Bが同じカテゴリーになるのはおかしい」「故障Cも故障Dも部品Xの不具合なのだから扱いは一緒のはず」といったように、現場の担当者がAIによるクラスタリングに違和感を訴えることは少なくありません。実際にシステムを運用するのはクライアントですから、分析の途中過程で何度もデモを見せるなどしてギャップを埋めていく作業がとても大切になります。この案件では、AIがトラブルの原因を1つに絞り込むのではなく、可能性が高い故障原因の候補を複数提示し、最終的には人間が判断するという手順を採用することにしました。

▼ 仕事に必要な知識・スキル

分析者としては、まず統計学の前提知識はある程度必要です。知識だけでなくデータ分析・モデリングの経験やプログラミング能力、そして分析対象のドメイン知識も重要です。マネジメントには、課題や目的を明確にし、課題を分析テーマに落とし込むスキルが必要とされます。プロジェクトマネジメント全般のスキルを身につけ、プロジェクトのトラブルを未然に防ぐことも重要な役割です。

自社内に分析部門を持つ事業会社で働く場合は、その事業会社自体や扱っているプロダクトやサービスが好きであること、特定ドメインの分析に興味があることなどが大切でしょう。一方、受託会社はクライアントの業種・業界も多岐に渡りますので、特定のドメインに対する興味よりも、分析技術や分析技術を用いた課題解決に興味がある人が向いているかもしれません。

▼ 仕事に対する考え(想いやこだわり)

まだ誰も見つけていなかった事実や法則をデータから導き出すことができ、さらにそれがクライアントの課題解決にもつながったときに自分たちの仕事に対してやりがいを強く感じます。

データ分析の仕事で注意していることは、課題にしっかりと向き合うということです。たとえ精度の高い予測モデルを作成できたとしても、それが本来の目的から逸れていれば課題解決には至りません。本当に役に立つデータ分析はどんな分析なのかを考えています。

情報データ科学部生にオススメする学びとは?

情報データ科学部で開講している科目はどれも大切ですが、基本の数学や確率・統計、さらに経営学や経済学も重要だと感じます。企業でのキャリア形成を考えているなら、企業がどのような動機で動いているか、ビジネスの仕組み、人間の行動原理などの知識や感覚を身につけておくと役立ちます。専門的な人材も重宝されますが、技術とビジネスの境界線を取り持つことができればさらに貴重な人材になれます。

また、これも似ていますが、「実社会解決プロジェクト」もよい経験が積める科目でしょう。情報データ系の専門性を活かして働くなら、単純作業のような仕事は少なく、ほとんどはプロジェクト型(=課題解決型)の仕事になりますので、大学でこの経験ができると将来に役立つと思います。

データ分析の仕事では、目指すべきゴールと、ゴールに向けて何をすべきか(課題)をロジカルに考え、設定するというスキルが特に重要です。これはどんな仕事においても当てはまることですが、企業における仕事の進め方の基本です。実は、大学での研究でも同じで、研究目的と課題をきちんと設定することと共通しているといえます。ですから、大学での研究活動にもしっかり取り組んでほしいと思います。

学生へのメッセージ

学生の間は、範囲は狭くともなにかひとつのことを極めることをおすすめします。ひとつのテーマ、ひとつのデータを深く突き詰めることは学生時代だからこそできることです。私自身、大学での研究の際にはデータの取得に苦労しました。ALBERTでは受託のデータ分析を行うスタイルなので学生時代と比べると、量も種類も豊富なデータに触れますが、大学時代に培った経験が今の仕事にも役立っています。ぜひ、ご自身の研究分野を極めて、学業に励んでほしいです。

(インタビュー日:2022年1月28日)

※本文中に掲載されている制度や事例、役職等の内容は、インタビュー当時のものです。