情報データ科学の「いま」がかわる!!プロのコトバ ~INTERVIEW~

物心両面で依頼者に寄り添うサポーター

河本 皓樹(カワモト ヒロキ)さん

【会社名】 京セラコミュニケーションシステム株式会社
【所属部署名・役職】 技術戦略部・開発イノベーションセンター
【入社年】 2014年4月
【略歴】

高等専門学校の総合工学システム学科 電子情報コースで学んだ後、専攻科(総合工学システム専攻 電気電子工学コース)まで進む。専攻科では、特徴量抽出アルゴリズムなどを用いて人体画像から姿勢推定を行う研究に取り組んでいた。

専攻科修了後、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)に入社。7年間は鹿児島県内の拠点で生産管理システムや基幹システムの開発に従事し、2021年10月からは長崎 Innovation Lab(長崎IL)にてシステム開発をサポートする仕事を行っている。

業務経験:
・生産管理システム、基幹システムの開発(各種設計・開発・テストなど)
・新しい開発基盤やフレームワークの開拓
・システム開発のサポート (ツールの開発や開発工程の見直しなど)

インタビュー
ICTにおけるシステム開発のサポートについて

現在の仕事について

京セラコミュニケーションシステムの紹介

京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、アメーバ経営※を根幹として、「ICT」「通信エンジニアリング」「環境エネルギーエンジニアリング」「経営コンサルティング」の4つの事業フィールドを持つ会社です。

・ICT:企業活動の情報基盤を支える事業
・通信エンジニアリング:社会の通信基盤を支える事業
・環境エネルギーエンジニアリング:環境との共生基盤を支える事業
・経営コンサルティング:企業の経営基盤を支える事業

私が携わっているICTは、お客様の経営の武器となる経営システムを構築することに加え、「AI」「IoT」「クラウド」「セキュリティ」などの先端技術を用いてビジネスを展開し、お客様・社会の課題解決に貢献するITソリューションを提供する事業です。

KCCSは従業員2000人を超える会社で事業分野も多岐にわたり、基地局建設やネットワーク工事、コンサルティング、The Amoeba(電子管理によってアメーバ経営をサポートするシステム)の販売など、個々の事業は枚挙に暇がありません。また、新事業開拓も随時行っています。

(※)アメーバ経営とは、会社を小集団(アメーバ)に分けて、その集団ごとに採算を管理する京セラ独自の経営管理手法。京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が実体験から編み出した経営管理手法で、「会社経営とは一部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わるものだ」という考え方が貫かれている。

京セラコミュニケーションシステムに入社した理由

私はもともと趣味でプログラムを作っていたこともあり、プログラムに携われる仕事に就きたいと考えていました。ただ一言でプログラムといっても、ゲームのプログラムやロボットアームを動かすためのプログラムなどその目的は様々です。仕事としてプログラムに携わろうと考えたとき、思い浮かんだのが企業活動のサポートを通じて社会全体の役に立つもの、つまりビジネスを支えるシステムエンジニア(SE)という職でした。

SEを募集している就職先を幅広く探していた中で、魅力を感じたのがKCCSの経営理念です。具体的には『全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。』という理念で、「働いている従業員が仕事へのやりがいや喜びを感じてこそ、本当にお客様や社会に貢献できるサービスや商品を提供できる」という考え方に共感しました。

特に印象的だったのが、この経営理念を実現するために実践されているという『京セラフィロソフィ』です。京セラフィロソフィでは、「人間として何が正しいか」を判断基準として、人として当然持つべき倫理観、道徳観、社会的規範に従い、誰に対しても恥じることのない公明正大な経営、業務運営を行っていくことの重要性が説かれています。こうした経営理念や経営哲学を知り、この会社なら精一杯働いても間違った方向には向かわないと感じました。

参考)
https://www.kccs.co.jp/company/kccs/philosophy/

https://www.kccs.co.jp/recruit/about/philosophy/

現在の仕事と役割

私が携わっているICT事業は、経営を支えるシステムや各種のITソリューションを提供することにより、お客様の課題解決に貢献する仕事です。長崎 Innovation Lab(長崎IL)に来るまでは、SEとして最前線でICTのシステム開発を行っていました。

システム開発の仕事を簡単に紹介すると、まずは「生産性を上げたい」「業務を効率化したい」といったお客様の要望に沿ったシステムを企画し、そのシステムを実現するために実装すべき機能や性能などを考えます。そのうえでシステムに実装する機能の仕様(画面イメージ、画面操作、入出力のデータ形式など)や機器の構成、セキュリティ環境の整備、運用方法などの基本設計を決定します。そこから詳細設計を経て、設計書に基づいたプログラミングを行っていくことになります。

参考)https://www.kccs.co.jp/recruit/work/job/system-engineer/

鹿児島県内の拠点にいた頃は、私も生産性向上のための生産管理システムや、業務効率化のための基幹システムの開発を行っていました。

2021年10月からは長崎ILに異動し、いま紹介したようなシステム開発をサポートする立場となっています。長崎ILは、ICT事業における開発力の強化を図る目的で、2019年11月に開設された新しい拠点です。現在はここで最新技術に触れ、新たなノウハウを蓄積しつつ、前線のSEに対する技術サポートや業務のフォローを行っています。

前線のSEから寄せられる相談は、「システムの仕様が複雑すぎてうまく設計できない」「プログラムの要件が厳しくて書き進められない」など様々ですが、これまでシステム開発を行ってきた私自身の経験も活かして対処方法を考え、お客様の要望を実現させるために全力でバックアップを行っています。また、前線で働くSEの作業効率や品質を上げるためのツール作りなども日々模索しています。

▼ 仕事に必要な知識・スキル

ITは進化が早いので、常に新しいことを取り入れて仕事に臨む必要があります。これは逆説的に、差し当たって必要としていない時に最新技術を学んでも、その知識やスキルはすぐに陳腐化するおそれがあることも意味します。したがって極端に言えば、TransformerやKubernetesのような最先端の部分を今覚えるというよりも、必要な時に必要なものを取り入れることが望ましいと思います。大切なのは、新しい技術を取り入れる時に苦労しないよう、コンピュータの動作原理やアルゴリズムなどの基礎的な部分をしっかりと鍛えておくことではないでしょうか。

当たり前のことですが、実際に仕事をする際にはコミュニケーションも重要になります。コミュニケーションミスはプログラムの連結ミスへとつながっていきますので、「言わなくてもわかるだろう」「見れば気づくだろう」などと決しておろそかにはできません。

▼ 仕事に対する考え(想いやこだわり)

表面上はプログラム・システムを作る仕事ですが、最終目的は「依頼者が望む結果をもたらす」ことです。依頼者はなぜこのシステムを欲しがっているのか、このプログラムがあれば依頼者の環境はどう改善されるのか、先のことを想像することが大切だと思っています。
さらに言うと、私は現在システム開発をサポートする立場なので、1番先にいる依頼者はもちろんシステム開発を当社に委託したお客様ですが、広い意味では前線で働いているSEも私にとって依頼者に当たります。ですから「このシステムがどのようにお客様の役に立つか」だけでなく、「どんなサポートをすればSEが効率良く作業できるか」といった現場の働きやすさに対する想像力も必要になります。

当社の理念にあるように、「働いている従業員が仕事へのやりがいや喜びを感じてこそ、本当にお客様や社会に貢献できるサービスや商品を提供できる」と思いますので、お金を払ってくださるお客様だけでなく、協業するメンバーを含めた「全員が望む結果をもたらす」ことを意識するようにしています。

情報データ科学部生にオススメする学びとは?

特に重要な科目を絞り込むのは難しいですが、社会人になってからも勉強は常に必要になってきますので、自分に合った学習法を見つけておくと良いと思います。

ITは幅が広いので、何か技能があれば活かすチャンスは比較的多くあります。ここで言う技能というのは、特定分野に秀でた知識・スキルに限りません。基礎をしっかり固めていること自体も、1つの立派な技能になります。例えば、プログラミング言語はC言語やJava、Pythonなど数多くありますが、私の実感としてはその言語自体よりも、プログラムの根本的な原理をしっかり学んだことが今に活きていると感じます。学生の頃に学んだのはC言語ですが、プログラムの原理がきちんと頭に入っていたので、仕事で別の言語を使うときにもスムーズに取り入れることができました。

ITの進化スピードはとても速いので、特定のソフトの扱いなどを極めても、そのソフト自体がすぐに時代遅れになってしまうことが少なくありません。こうした時代の変化に素早く適応するためにも、基礎・根幹の部分を鍛えておくことが大切だと感じます。

もちろん、基礎的な勉強をする中で好きな科目・分野が見つかれば、それをとことん極めるのも良いと思います。それが自分の個性・強みになり就職活動にも役立つでしょうし、社会に出てからも活躍の場が開けると思います。


SEには、例えば一級建築士のような必須資格はありません。誤解を恐れずに言えば、コンピュータを触るのが好きで、やる気があれば誰でもなれる職業ではないかと思います。

当社の場合、新入社員に対してはマナーやビジネス文書といった社会人としての基礎研修に加えて、約3ヵ月間、ICTやプログラムに関する技術研修を行っています。文系出身者も多く入社時のレベルは人によって様々ですが、実際の業務に就くまでには、全員が「Oracle認定JavaプログラマSilver(初級Javaプログラマ向けの資格)」や「LinuCレベル1(Linux技術者認定試験)」といった資格を取得できるレベルになっています。現場に配属されてからも、OJT(On the Job Training)で先輩の指導を受けられますので、安心して仕事に取り組めると思います。

情報系エンジニアは現在とても需要が高く、やる気があれば誰でも挑戦できますし、何か技能があれば必ず重宝されると思います。コロナ渦で実際に顔を合わせる機会が少ない状況の中で難しく感じる時もありますが、未来に向けて共に頑張りましょう!

(インタビュー日:2022年1月31日)