情報データ科学の「いま」がかわる!!プロのコトバ ~INTERVIEW~

浦崎風<(ウラサキフウ)さん

開発経験ゼロ!調理師からプログラマー沼へ

浦崎 風(ウラサキ フウ)さん

【会社名】 株式会社アドミン
【所属部署名・役職】 取締役
【入社年】 2008年
【略歴】

前職は、飲食店の調理師として俗にいう「修行」をしていましたが、体調を崩したことをきっかけに転職を決意。

当時、IT業界の経験はゼロだったが、職業訓練校で6か月間学習し、その過程でプログラミングに出会った。 プログラミングも調理同様
「技術」だと感じプログラミングに魅了される。

調理の世界では、出来上がりのイメージを明確にし、調理過程を頭の中で形にして作り上げる。一つ一つの工程により、
出来栄え、見栄え、美味しいか不味いか1か0の結果 が吐き出される世界。

1という結果を作り上げるために手順、分業(分担)など、工程全体を可視化して実施する必要がある。これはシステム構築にも同じことが言え、最終目標を作り上げる 業務は、調理の経験と相性が良いと感じこれまでの経験を活用できると判断した。

職業訓練後は、さらに独学でプログラミングを勉強。それにともない、毎日1時間タイピング練習をすることから始めた。
これはタイピングが遅いとイメージをそのまま落とし込むことができないと判断し実施していた。

開発はおもにIoT製品のプロトタイプ(試作品)開発を行った。その仮定でつまずいた課題をその道の専門家の方に聞き、
自分に不足するスキルを強化。教本を購入する際に気を付けていたこととして、異なる著者の教本2冊を購入し補完し合いながら学んだ。

学習内容:サーバ、ネットワーク等の環境構築・保守、Webシステムにかかるフロントエンド・バックエンドと業務に応じた実装など。

IoTについては安価な学習用シングルボードコンピュータを使いデータセンシング等を行った.

インタビュー
調理師からプログラマーへ!
プログラミング出張講師やイベント登壇など地方技術格差をなくす

現在の仕事について

株式会社アドミン 浦崎さん

株式会社アドミンの紹介

DXを推進する企業として顧客の業務相談からシステム導入を行なっている。
またWebを中心としたPR事業、研究事業として海洋・農業IoT、スマートシティ構想・ロボティクス等の研究事業を進めています。

特に農業、海洋では、クリーンエネルギーを生み出すところから、自動化による人手不足の解消を促進させる研究を進めています。

弊社は、代表取締役の山口が専門校を卒業と同時に起業し様々な方にお力添えをいただきながら創立13年目を迎えました。2020年、取締役に就任した2名は
どちらも飲食出身という異色の企業です。長崎の地では先行し完全テレワークを開始し、出社せず、好きな場所で業務をしています。

私は現在、海洋研究事業を中心にアナログデータのデジタル化とそのデータ収取・解析を行っています。
また、個人の活動として地方技術格差をなくすための技術イベント活動や、プログラミング出張講師活動を行っています。長崎のエンジニアの単価は都心に比べ
まだまだ格差があるので、技術力の底上げを促進し、まずは同じ土俵に立ち、そして給与水準のベースアップに貢献出来ればと思っています。

入社した理由

調理師という異業種からIT業界を選んだ理由は、職業訓練所での学びを、仕事として実践しスキルを確立したかったからです。

飲食とは異なり、場所問わずどこでもできる自由さや、原価率が低いことも魅力を感じたポイントです。

ただコードを書くだけでなく、プロジェクト管理や、契約書や見積り作成・アフターフォローまで、幅広く仕事を出来るようにと思い、
それを受け入れていただける会社ということで入社 しました。

実は職業訓練時の講師が現在の代表取締役で、「型にとらわれない・面白いことをやっている」との印象を受け、ワクワクしながら働きたい・働けると思い、
直談判で入社しました(笑)

現在の仕事と役割

▼ 仕事

現在は、営業活動やマネジメント業務だけでなく、プレイヤーとして開発業務にも携わっています。

▼ 役割

マネジメント業務では、プロジェクトの進捗管理、メンバーの技術向上のための指導を行っています。またメンバーの技術マップの作成と可視化をすすめ、
技術の底上げにつながる仕組みづくりを進めています。

またメンバーの技術マップの作成と可視化をすすめ、技術の底上げにつながる仕組みづくりを進めています。
特に時間についてはメンバーの業務に掛かる時間が大事たと考えます。

例えば資料作成について、予定と実績の時間データを3カ月ほどかけて収集し、本人の得意不得意、考え方等を分析するようにしています。

例えば予定時間を30分超過した場合、その30分の理想(予定)と現実(実績)のギャップがなぜ生まれてしまったのかについて面談します。
「調査に時間がかかった」「作成途中で資料の構成に違和感があり入れ替えていた」など多くの原因が出てきます。

その原因を解消する為になにが必要か、本人の課題が明確になったり、得意不得意も分かるようになってきます。
これをやると面白いくらい、予定・実績の差がなくなったり、本人が 不得意と思っていたことも得意になったりするメンバーもいました。

また、開発も欠かさず進めており、海洋養殖に関わるハード設計、システム設計、システム実装をしています。
海は特に環境に変動が多く、ネットワークの確保や浮力計算等、陸地での当たり前が通用せず、四苦八苦しながら従事しています。

▼ 仕事に必要な知識・スキル

必要なスキルは3つあります。

(1)言語化・可視化スキル

必要なスキルとしては技術面だけでなく、仕様や仕組みを言語化できるスキルでだと考えています。

テレワークで痛感したのですが、オンラインで画面共有しながら伝えるとき、説明の仕方、つまり言語化をできないと、伝えた内容の認識にズレが生まれ、
進行が滞り確認の時間が増えてしまいます。

例えば、不具合が生じた場合、現象・事象を明確に伝えることが出来れば、現状の把握、原因特定がスムーズに進ことが多いです。俯瞰してみる力、
構造化して図式化する力、言語化する力が高ければ、課題の解決が早くなるのです。

用語の定義は仕様書にも冒頭で明記される箇所でとても重要です。 これは本を読むことをお勧めします。

(2)走り切る力

この能力(気持ち)があれば基本的にほとんどのことを成し遂げられるかと思います。

ここで言う「走り切る」とは、完成に至るまで、正確に全体把握し組み立てた上で、決めたスケジュールに対して期日までに完遂させることです。

持論ですが、こういった走り切った経験がないと成長しないと思っています。人間は失敗するもの。それを大前提にリスクヘッジをしたスケジュールに落とし込み、
どのくらいのスキルを持つ人を配置することが最適か、マネージメントできることが重要。限界と伸び代を知ることができます。

(3)実装する力

実装するスキルについてはとにかく手を動かすことが重要だと思います。また、動かした後に「振り返る」こともスキルを身に着ける重要です。

大学で基礎知識の学習は必要を学んだうえで、それ以上に動くものを作ること、うまく動かす為の設計を行うこと、失敗しながら実装すること(笑)を
大学生のうちにやってい置くと良いかと思います。

▼ 仕事に対する考え(想いやこだわり)

良い結果を出すためには、心身ともに健康であることが大切です。

ただ、自身の技術や知識も合わせて向上すると良い結果が訪れると思います。

ある精神科の先生の話によると、仕事に悩みを抱えて働けなくなる人のうち、自ら学ぶ機会を得ていない人の割合が8割を超えているそうです。

良い結果を出すためには知識・技術を身に着け、それが成果と自由な時間を出すための材料となります。これを行うとおのずと仕事も楽しくなると思っています。

心の健康として、仕事に対する悩みを減らすことも大切です。 これは悩みを無視・ごまかすことではなく、解決・解消する方に視点を向けることです。 対人関係で問題がある時は、無視することも必要でかもしれませんが。

業務でうまくいかない場合は、状況を俯瞰し対処術や自分に対する障害をなくしていく。 対処例としては、第三者に入ってもらったり、その課題に着いて知識のある方に会いに行くなどおすすめです。

情報データ科学部生にオススメする学びとは?

関わる人が多く多様性のある大学は、とても良い場所だと思っています。

論文締め切り等、意地で仕上げるなどの経験もなかなか社会に出てからは体験できないため、学生のうちに経験しておいてください。
何かに向けて頑張ったという経験はとても貴重です。

データを学ぶ工程と、データを活かす工程があると思います。データを学ぶ工程は学生の内に真剣に勉強すれば身につくとおもいます。あとはそこにどれだけ時間をかけるかによるので私生活で時間の許す限りは数学や統計に触れておくと良いかと思います。

また、大学生の内にできることで、興味のある研究や少しでも気になったことは、その分野の先生に話を聞きに行くことです。
徒歩圏内に色々な専門家がいるというのは、社会に出るとありえないですし、学生の話や相談については、先生も時間を割いて聞いていただけると思います(笑)

社会人になるとアポ取りと自身の時間の調整が必要になるので、思ったよりも大変です。。。

最後に学習は手段だと考えます。
何をしたいかとの目的思考が重要で、目的が見えたら、マンダラート等に図式化し、そこに必要な学習内容を当てはめられると最高です。

まだ目的がしっかりしない時には、知識が足りない可能性もあるので、目の前の学習を理解すると見えることもあるので、
もくもくと勉強し、知識をため込むと良いかと思います。

(インタビュー日:2022年5月22日)