▼ 仕事
私は、電通クロスブレインで取締役として会社を経営しています。
社員がクライアント企業にサービス提供する際の効率改善や品質向上のための仕組みづくりと、その運用をリードすることが主な役割です。
▼ 役割
当社の業務内容ですが、会社説明で少しお話ししたたように、電通クロスブレインはマーケティング分野に特化してクライアント企業のデータ活用を支援しています。
マーケティングと言っても漠然としていますから、ここでは分かりやすい例として「LTVを高める」ための支援についてご紹介します。
そもそもLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、1人のお客様が生涯にわたって自社にもたらす利益の総額を表す指標です。
自社にもたらす利益の総額ですから、「高額の商品・サービスを利用してくれるお客様」や「高頻度で利用してくれるお客様」はLTVが高いと言えるでしょう。
クライアント企業のLTVを高めるには、既存のLTVを「高くする」か、LTVの高いお客様を「獲得する」ことが求められます。
私ども電通クロスブレインでは、クライアント企業の売上構造、利用するお客様の年齢・性別といったセグメンテーション、行動履歴・傾向などをデータ分析で
明らかにし、クライアント企業の顧客のLTVを推定するモデルを提供しています。
各種のデータから「どんなお客様が、どの程度のお得意様になり得るか」を早期に推定したうえで、
この推定値よりも高くする・推定値が高いお客様を獲得するためにはどうしたらよいのか、効果的な施策を考え、実行までを支援しているわけです。
LTVを高めるための具体的な支援内容については、健康食品の通販を行っているクライアント企業の案件で簡単にご説明します。
この企業は「定期購入」を推進していましたので、構造としては「定期購入の解約を防ぐことができればLTVが高まる」というシンプルなものでした。
そこで過去に実施してきた定期購入継続のための施策を検証してみると、わずかながらLTVが高まっている施策があったのです。
「商品を送付する際に印刷物を同梱する」という施策の1つだったのですが、すべての印刷物に効果があったわけではありません。
効果の出ている施策と出ていない施策を比較してみたところ、文字の大きさに微妙な違いがあることが分かりました。このクライアント企業のお客様は
高年配層が多く、文字の小さい印刷物では効果が出なかったと考えられました。
こうした分析をもとに、年配のお客様が見やすいのはどのくらいの大きさの文字なのか、どんな色やフォントが良いのかなども検討することで、
より効果的な施策につなげていくことができました。
実際の案件でこのように単純なものは多くありませんが、各案件は基本的に、データの収集・分析等を担うアナリストと、
分析結果を基に効果的なマーケティング施策の検討等を担うプランナー(マーケター)がチームになって取り組みます。
アナリストとプランナーはあくまで役割の違いで上下関係はありません。
案件の大きさによってチームの人数は異なりますし、アナリストとプランナーのどちらがプロジェクトリーダーを務めるかも案件によって異なります。
現在は、主にブレインパッドの人材がアナリスト、電通の人材がプランナーの役割を果たしていますが、
今後はプロパーで各役割を担える人材を育成していきたいと考えています。
キャリアイメージについても触れておくと、データサイエンティストとして入社した新人は、まずアナリストとしてSQLやPythonを使ったデータ分析に携わります。
チームの一員として顧客対応スキルを身につけながら、5年目頃にはシニア(上級職)として分析設計やクライアント企業が抱える課題を分析課題に
落とし込めるようになるのが一般的です。
このくらいのキャリアになると、そのままコンサルティングの仕事を続けるだけでなく、支援する側の事業会社で力を発揮したいと考えたり、
データ分析を極めるスペシャリストを選んだりと、進む道は分かれてくると思います。
▼ 仕事に必要な知識・スキル
データサイエンティストとしては、データサイエンスに関するあらゆる知識、それをビジネスに応用する技術をベースに、
プロジェクト管理やプレゼンテーションの能力を駆使することが必要です。
私は取締役ですから、会社経営者として会計の知識も必要になります。
クライアントの課題解決というコンサルティング業務に携わる人材には、「社会から何を期待されているのか」をしっかり考えられることが大切だと思います。
電通クロスブレインで働くのであれば、「マーケティング分野でのデータ活用において、自分が果たせる役割」を考えられることが重要と言えるでしょう。
▼ 仕事に対する考え(想いやこだわり)
もともと、出向元であるブレインパッドの「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」というミッションに強く共感し、
今もその使命を果たすための仕事にやりがいを感じています。
業務推進にあたっては、プロフェッショナルとして、常に高効率・高品質な仕事をすることを心がけるとともに、
データだけですべてが解決するわけではないことを認識し、関係者との信頼関係の構築を何よりも重視しています。